ライアンエアー(Ryanair)は、アイルランドを拠点とするヨーロッパ最大の格安航空会社であり、そのビジネスモデルは低運賃と高頻度運航に重点を置いています。2024年3月期の決算報告によれば、同社は売上高134億4,380万ユーロ、営業利益20億6,070万ユーロ、当期純利益19億1,710万ユーロを計上し、前年同期と比較して大幅な増収増益を達成しました。
しかし、2024年7月22日に発表された2025年度第1四半期(2024年4月~6月)の決算では、純利益が前年同期比46%減の3億6,000万ユーロとなり、市場予想の5億3,800万ユーロを大きく下回りました。この減益の主な要因は、平均運賃の15%下落であり、競争激化と消費者の価格抵抗が背景にあります。さらに、夏季の運賃も前年同期比で大幅に低下する見通しが示され、同社の収益性に対する懸念が高まっています。
株価の推移を見てみると、2024年4月8日に60.29ドルの52週高値を記録しましたが、その後下落し、7月22日には36.96ドルの52週安値を付けました。2024年12月6日時点の終値は46.65ドルであり、年初来の株価は不安定な動きを示しています。
ライアンエアーは、ボーイング737 MAX機の納入遅延にも直面しており、夏季のピークシーズンに予定より20機少ない機材での運航を余儀なくされています。しかし、ボーイング社からの納入スケジュールの改善が見られると報告されています。
同社の財務状況を詳しく見ると、2024年9月30日時点で総資産は163億7,580万ユーロ、総負債は86億1,860万ユーロ、自己資本は77億5,720万ユーロとなっています。自己資本比率は約47.4%であり、財務基盤は比較的健全といえます。
ライアンエアーは、引き続き低運賃戦略とコスト削減に注力し、競争の激しい欧州市場での地位を維持・強化することを目指しています。しかし、運賃の下落傾向や消費者の動向、さらには機材調達の遅延など、外部環境の変化に対応した柔軟な経営戦略が求められる局面にあります。