#201 「日野自動車の現状分析:赤字転落の背景と再建への道筋」

日野自動車株式会社(以下、日野自動車)は、トヨタグループに属する商用車メーカーであり、主にトラックやバスの製造・販売を手掛けています。近年、同社はエンジン認証に関する不正問題や業績の低迷など、さまざまな課題に直面しています。本記事では、日野自動車の最新の決算情報、株価の推移、そして今後の展望について分析します。

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1. 最新の決算情報

 


2024年10月29日、日野自動車は2025年3月期第2四半期(2024年4月~9月)の連結決算を発表しました。売上高は前年同期比12.2%増の8,475億4,600万円となり、増収を達成しました。営業利益は240億9,600万円、経常利益は194億4,700万円を計上し、いずれも前年同期から改善しています。しかし、親会社株主に帰属する当期純利益は2,195億9,800万円の赤字となり、大幅な損失を計上しました。 

 


この赤字の主な要因として、エンジン認証不正問題に関連する特別損失の計上が挙げられます。同社は、豪州やカナダにおける訴訟の和解に伴い、多額の特別損失を計上せざるを得ない状況にありました。これにより、2025年3月期の通期業績予想も修正され、売上高は1兆6,500億円、営業利益は300億円、経常利益は250億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,200億円の赤字と見込まれています。 

 


2. 株価の推移

 


日野自動車の株価は、エンジン認証不正問題の影響や業績の悪化を受けて、変動が見られます。2024年4月5日には年初来高値の333.5円を記録しましたが、その後は下落傾向が続き、11月8日には年初来安値の225.7円を記録しました。12月5日時点では260円で取引されており、依然として低迷しています。

 


また、アナリストの評価も厳しく、日系大手証券は同社のレーティングを「中立」とし、目標株価を450円と設定しています。これは、同社の業績回復には時間がかかるとの見方が強いことを示唆しています。

 


3. 今後の展望

 


日野自動車は、エンジン認証不正問題の再発防止に向けた取り組みを進めています。具体的には、「3つの改革」と称する組織改革や品質管理体制の強化、ガバナンスの改善などを実施しています。また、三菱ふそうトラック・バス株式会社との経営統合に向けた協議も進行中であり、これにより競争力の強化やコスト削減が期待されています。

 


しかし、業績回復には時間がかかると予想されます。特に、エンジン認証不正問題に関連する訴訟や和解金の支払いが財務面での負担となっており、これらの問題を早急に解決することが求められています。さらに、国内外の商用車市場における競争が激化している中で、新製品の投入や技術革新を通じて市場シェアの拡大を図る必要があります。

 


4. まとめ

 


日野自動車は、エンジン認証不正問題や業績の低迷など、多くの課題に直面しています。しかし、組織改革や三菱ふそうとの経営統合など、将来に向けた取り組みも進められています。今後、これらの施策が実を結び、同社の業績が回復することが期待されます。投資家としては、同社の改革の進捗や市場動向を注視し、慎重な判断が求められるでしょう。