ソニー損保の最新決算分析:増収も損害率上昇で利益減少、今後の課題と展望

ソニー損害保険株式会社(以下、ソニー損保)は、2024年3月期および2025年3月期第1四半期の決算を発表しました。これらの決算報告を基に、ソニー損保の業績動向を分析し、今後の展望を考察します。

 


1. 2024年3月期の業績概要


ソニー損保の2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の主な業績は以下の通りです。

• 元受正味保険料:自動車保険保有契約件数が堅調に拡大し、前年度比5.6%増の1,547億1,800万円となりました。

• 正味収入保険料:前年度比4.7%増の1,505億4,000万円を計上しました。

• 経常収益:前年度比4.7%増の1,520億8,800万円となりました。

• E.I.損害率:交通量の回復に伴う事故発生率の上昇などにより、前年度から4.9ポイント上昇し67.9%となりました。

• 正味事業費率:システム関連費用の増加などにより、前年度から0.1ポイント上昇の26.5%となりました。

• 合算率:E.I.損害率と正味事業費率の合計で、前年度から5.0ポイント上昇し94.4%となりました。

• 経常利益:増収効果があったものの、E.I.損害率の上昇により、前年度から34.9%減の64億7,800万円となりました。

当期純利益:前年度から35.4%減の45億9,000万円を計上しました。

• 単体ソルベンシー・マージン比率:2024年3月末時点で734.1%となり、前年度末から55.7ポイント低下しましたが、保険金支払能力に問題がないとされる200%を大きく上回っています。

 


2. 2025年3月期第1四半期の業績概要


2025年3月期第1四半期(2024年4月1日~6月30日)の主な業績は以下の通りです。

• 元受正味保険料:前年同期比11.4%増の430億4,100万円となりました。

• 正味収入保険料:前年同期比10.1%増の416億6,000万円を計上しました。

• 経常収益:前年同期比10.1%増の420億6,900万円となりました。

• E.I.損害率:4月に兵庫県を中心に発生したひょう災や支払保険金単価の上昇などにより、前年同期から6.8ポイント上昇し69.3%となりました。

• 正味事業費率:前年同期から0.8ポイント減の24.5%となりました。

• 合算率:前年同期から6.0ポイント上昇し93.8%となりました。

• 経常利益:増収効果があったものの、E.I.損害率の上昇により、前年同期から56.6%減の7億5,700万円となりました。

• 四半期純利益:前年同期から57.2%減の5億3,100万円を計上しました。

• 単体ソルベンシー・マージン比率:2024年6月末時点で719.6%となり、前年度末から14.5ポイント低下しましたが、依然として十分な支払余力を保持しています。

 


3. 業績分析と今後の展望

ソニー損保は、自動車保険保有契約件数の増加により、元受正味保険料や正味収入保険料、経常収益の増加を実現しています。しかし、交通量の回復や自然災害の影響により、E.I.損害率が上昇し、経常利益や純利益の減少を招いています。

 


特に、2025年3月期第1四半期では、兵庫県を中心に発生したひょう災が損害率上昇の一因となっています。また、支払保険金単価の上昇も利益減少に影響を及ぼしています。