#224 「HISの業績回復と今後の展望:旅行需要の再起に向けた挑戦」

エイチ・アイ・エス(HIS)は、旅行業界における大手企業として、特に海外・個人旅行に強みを持っています。近年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、旅行需要が大幅に減少し、業績に厳しい影響を受けていました。しかし、2024年に入り、旅行需要の回復とともに業績が改善しています。

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最新の決算情報

 


2024年10月期第3四半期(2023年11月~2024年7月)の連結決算では、売上高が前年同期比44.9%増の2,376億円となり、営業利益は55億円、経常利益も55億円を計上し、純利益は38億9,000万円と黒字転換を果たしました。 特に、旅行事業の売上高は前年同期比50.9%増の1,944億円、営業利益は46億7,900万円と大幅な増収増益を達成しています。 

 


株価の推移

 


HISの株価は、2024年12月27日時点で1,460円を記録しています。 過去1年間の株価は、1,431円から2,019円の範囲で推移しており、年初来リターンは-19.82%となっています。これは、業績の回復傾向にもかかわらず、投資家の慎重な姿勢や市場全体の動向が影響していると考えられます。

 


業界全体や競合他社との比較

 


旅行業界全体では、COVID-19の影響からの回復が進んでおり、各社ともに業績の改善が見られます。HISの主要な競合他社であるKNT-CTホールディングス近畿日本ツーリスト)やJTBなども、国内外の旅行需要の回復に伴い、業績を持ち直しています。しかし、各社の回復速度や戦略には差異があり、特に海外旅行の取り扱いに強みを持つHISは、円安や燃油高騰などの外部要因に対する対応が求められています。

 


今後の展望や課題

 


HISは、2024年10月期の通期業績予想として、売上高3,600億円、営業利益110億円、純利益70億円を見込んでいます。 しかし、12月20日に発表された修正では、連結最終損益の予想を未定に変更し、配当も無配継続とする方針を示しています。 これは、外部環境の変動や市場の不確実性を考慮したものと考えられます。

 


今後の課題として、以下の点が挙げられます:

1. 海外旅行需要のさらなる回復:特にハワイやミクロネシア方面の需要回復が遅れており、これらの地域へのプロモーション強化が必要です。

2. コスト管理と収益性の向上:燃油高騰や円安の影響を受ける中で、効率的なコスト管理と高付加価値商品の提供が求められます。

3. 新規事業やサービスの展開:多角化戦略として展開しているホテル事業やIT関連サービスの強化を図り、収益源の多様化を進めることが重要です。

 


総じて、HISは旅行需要の回復に伴い業績を改善させていますが、外部環境の変動や市場競争の激化に対応するため、柔軟な経営戦略と迅速な対応が求められています。投資家としては、同社の今後の動向や業績推移を注視し、慎重な判断が必要となるでしょう。