フォルクスワーゲン、業績低迷と構造改革の必要性が浮き彫りに

2024年10月30日、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンVW)は、2024年第3四半期(7~9月期)の決算を発表しました。同社の営業利益は前年同期比で41.7%減少し、28億5,500万ユーロ(約4,700億円)となりました。この大幅な減益は、販売不振と高コスト体質が主な要因とされています。

 


特に、ドイツ国内の過剰な生産能力と高い人件費が問題視されています。独国内の工場稼働率は55%に低下しており、これは欧州域内平均の69%を下回っています。さらに、VW独国内の生産コストは他社の2倍に上ると報じられています。

 


これらの課題に対処するため、VWは国内工場の閉鎖や人員削減など、大規模なリストラを検討しています。具体的には、独国内の10拠点のうち、少なくとも3工場の閉鎖が検討されており、他の工場の縮小も視野に入れています。これにより、数万人規模の人員削減が実施される可能性があります。

 


しかし、VWは強力な労働組合を持つ企業であり、これらのリストラ計画に対して労組側は強く反発しています。ストライキも辞さない構えを見せており、リストラの実現性には不透明な部分が残ります。

 


一方、VWは電気自動車(EV)市場での競争力強化にも注力しています。2024年上半期には31万7,000台以上のバッテリー電気自動車(BEV)を納入し、BEVのシェアは第2四半期に8%以上に上昇しました。しかし、全体的な販売台数は前年同期比で7%減少し、特に中国市場での販売が12%減少しています。

 


これらの状況を受け、VWのアルノ・アントリッツ最高財務責任者CFO)は、「工場は競争力のある状態からほど遠い。現状維持はできない」と述べ、コスト削減と効率化の必要性を強調しています。

 


VWの今回の決算は、同社が直面する課題の深刻さを浮き彫りにしました。高コスト体質の改善と市場ニーズへの迅速な対応が求められる中、労使間の協調と戦略的な改革が鍵となるでしょう。