2024年10月31日、武田薬品工業株式会社(以下、武田薬品)は2024年度上期(4月1日~9月30日)の決算を発表しました。同社は、成長製品・新製品の好調な売上により、前年同期比で大幅な増収増益を達成し、通期業績予想を上方修正しました。
売上収益と利益の大幅な増加
武田薬品の2024年度上期の売上収益は、前年同期比13.4%増の2兆3,840億円となりました。この増収は、成長製品・新製品の売上が前年同期比18.7%増と好調だったことが主な要因です。特に、潰瘍性大腸炎治療薬「ENTYVIO®」の売上が二桁成長を記録し、米国での皮下投与製剤「ENTYVIO® Pen」の上市が成長を加速させました。
営業利益は前年同期比で大幅に増加し、最終利益も4.5倍の1,872億円に急拡大しました。この結果、通期の最終利益予想を従来の580億円から680億円へと17.2%上方修正し、減益率が59.7%減から52.8%減に縮小する見通しとなりました。
成長製品・新製品の貢献
武田薬品の成長製品・新製品は、売上収益全体の47%を占め、同社の業績を力強く牽引しています。特に、「ENTYVIO®」の売上は二桁成長を達成し、米国での皮下投与製剤「ENTYVIO® Pen」の上市がさらなる成長を促進しました。また、欧州での「ADZYNMA®」および日本での「フリュザクラ®」の承認により、地理的な拡大も実現しています。
研究開発の進展と将来展望
武田薬品は、ナルコレプシータイプ1を対象とした「TAK-861」の臨床第3相試験を開始するなど、後期開発パイプラインの進展も報告しています。これらの取り組みは、患者への革新的な医薬品提供を目指す同社の戦略を示しています。さらに、2024年12月12日(米国東部標準時間)/13日(日本時間)に開催予定のR&D Dayでは、研究開発戦略や商業的な見通しについて詳しく説明する予定です。
通期業績予想の上方修正
上期の好調な業績を受け、武田薬品は通期業績予想を上方修正しました。売上収益は4兆3,500億円、営業利益は2,650億円、最終利益は680億円と予想しています。この上方修正は、成長製品・新製品の勢いが持続し、米国での「VYVANSE®」の後発品による市場浸透が想定よりも緩やかであったことなどが要因とされています。
効率化プログラムの進捗
武田薬品は、組織の機動性向上や調達コスト削減、データ・デジタル&テクノロジーの活用に注力する複数年にわたる効率化プログラムを計画通り進めています。これらの取り組みにより、2025年度以降のCore営業利益率の改善を目指しています。
まとめ
武田薬品の2024年度上期決算は、成長製品・新製品の好調な売上により、前年同期比で大幅な増収増益を達成し、通期業績予想を上方修正する結果となりました。研究開発の進展や効率化プログラムの推進により、今後も持続的な成長が期待されます。